宣材化するアニメ

アニメは文学であり独立した表現媒体である。

自らの意思で表現することを放棄してしまうと、それは他者を宣伝するPVに堕すだろう。

 

兆候はアイドルアニメとソシャゲ原作のアニメにあった。

 

自転車やキャンプなどに見られる、アニメが自ら見事に表現しきったことで生まれる宣伝効果、

それが絶大なものとなるほど逆算して悪用する者が出てきても不思議ではない。

始めから自社の製品やサービスを宣伝するためにアニメを利用しようとする者、それはアニメオタクの天敵である。

何かのためのアニメではなく、それ自体が面白さを持つアニメを求めているのだから当然だ。

 

アニメというのはアニメーターや声優を始め制作スタッフの想いが込められている。

それが宣伝のためのPVの価値しか持たないとなると、目に見えないところで制作スタッフの内面を蝕み作品の劣化をもたらすのではないだろうか。

 

企画ものでない限り、他者の宣伝のために創作している小説家や漫画家はいない。

それとは違って原作を丸ごと他媒体から借りたり制作資金の出処を問わないアニメ業界が、これからも表現の独立を維持し続けることが出来るのか大変不安である。