アイドルを扱うコンテンツ(アニメやゲーム)と言えば、昔はテレビアニメの出演が少なくなった声優の第二の本拠地であった。
だが現在では様相が全く違う。
多くの新人声優がデビューする場所になりつつある。
一つの作品内にたくさんのキャラが用意されており、またそのようなアイドルのソシャゲも数多くリリースされるので
テレビアニメと比べて門戸は広く声優や彼らを推しだしたい所属事務所はそのメリットを享受できる。
問題は彼らを迎える我々声優オタクである。
テレビアニメにおいて新人声優を認知する手掛かりは、共演する既に知っている声優との関係性である。
既存の声優との絡みで演技や人柄を知っていくのが従来のやり方だ。
それが現在のアイドルアニメ(アニメ化したソシャゲの場合)となると事情が全く異なる。
いきなり知らない新人声優がたくさん出演するのである。
突如大量に押し寄せてくる異星人みたいなもので、
個人個人を知る手掛かりもなく名前でさえ覚えるのは難しい。
これまでのテレビアニメでは主人公を中心とした片手で数えるくらいのヒロインがいて、
ストーリーが進むにつれてそのキャラクターと中の人である新人声優に馴染む流れがあった。
しかし今のアイドルアニメ、その元となるソシャゲでは多様なユーザーの好みに対応するため
数え切れない程のヒロインが用意されている。
同時に平行に並び立つ多すぎるヒロインたちだ。
テレビアニメとアイドルコンテンツでは、キャラクターの設計思想が根本的に違うのである。
当然それは新人声優の認知を阻害する要因だ。
一方は演技を磨き、他方は歌やダンスのレッスンに精を出す。
両者の声優の活動も大きく違い、別天地の観がある。
作品の性質はもちろん、出演声優やファン層も分離している。
アイドルアニメとは、出演声優や原作のソシャゲを売り込みたいための宣伝アニメとして
テレビアニメに迷い込んだ存在としか思えないのだ。