二度目の人生を現実でやり直すことになってしまった原作者のライトノベルのアニメ製作中止が先日発表された。
日に日に強まっていく国内外からの圧力に対する製作委員会の動向に、オタクの関心が集まっていた。
そこで彼らを驚かせたのが、出演声優の降板発表だ。まさかアニメの製作中止発表より先だと予想していた者は少なかっただろう。
しかしここに製作委員会と声優事務所の卓越した危機管理能力があったと推察される。
本来ならばアニメ製作の中止が公にされるまで声優が降板発表をする必要性は無い。
しかし今回は率先して声優が降板することを表明したのである。
これにより製作中止を願っていた者に対しては、声優が原作者とは違って反ヘイトの立場であるというメッセージを送ったことになる。
そしてここが肝心なのだが、各出演声優の降板発表のタイミングと文面が同一だったことである。
そこで声優オタクは、声優が自由意思で降板を決めたのではないと悟ることになる。
声優オタクとは面倒臭いもので、声優を崇めているのに声優が「作品を選ぶ」ということを極度に嫌っている。
声優は作品に従属しているものだという考えに依るものだろう。
それに日本人は、声優を含め芸能人が政治的な言動をすることに慣れていない。
そこで今回は声優が所属事務所及び製作委員会の意向に従ったのだと納得すれば満足なのである。
そして他のアニメ制作関係者に対しても、声優や所属事務所が自発的に降板を決めたわけでは無いことを暗に伝え、
今後のオーディションやキャスティングに影響が出ないようにしたのである。
アニメ製作の賛成派と反対派の双方に、理想的なスタンスを声優に示させたことに成功した製作委員会と声優事務所は褒められていいだろう。
今回は珍しく声優は盾で守られたのだ。