アニメーター、とりわけ動画部門に属するアニメーターの窮状がネットニュースで度々話題になる。
動画1枚の単価が恐ろしく低く、特に手が遅い新人時代だと収入が少なく生活が成り立たないらしい。
動画に携わるアニメーターに対する報酬の多寡は、経営上の問題であり経済的な問題である。我々アニメ視聴者がアニメーターの地位向上に及ぼせる影響など無いと思いがちである。
本当にそうだろうか?
極論だが、動画が評価できない作品の視聴拒否もしくは円盤を買わないという選択肢を取れば
作品における経済的利益に関わることなので制作側も動画に対する然るべき報酬を考えるのではないかと空想しないでもない。
しかしなぜアニメオタクはそのような行動が取れないのだろうか?
アニメの作画には原画と動画の2種類がある。
原画は漫画でいうところのコマの絵で、動画は枚数を費やして起点となる原画の中のキャラや背景を動かすもので
アニメがアニメーションと呼ばれる由縁そのものと言っていい。
作品で素晴らしい動画のシーンがあればアニメオタクは注目し絶賛することはある。
しかしながら駄目な動画に対しては寛容というか諦めに近い感想を抱くだけで、絶対的な拒絶反応は起こさないのだ。
なぜならアニメオタクは、アニメは紙芝居でも構わないと本音では思っているからだ。
アニメオタクはアニメを漫画の延長として捉えている節があり、動画よりもコマ割り、言い換えればカットの方を重視しているのだ。
絵に色と音が付けば満足、というわけだ。
こんな土壌では動画がまともに評価されるはずもない。
綺麗なカットの絵は素晴らしい。しかしそれが動けばもっと感動的だ。
現在のアニメ業界のマンパワー不足は一旦無視して、アニメオタクはアニメに紙芝居とアニメーションのどちらであることを望むのか自問すべきだろう。
それがゆくゆくは動画を担当するアニメーターの正当な評価と報酬に繋がっていくはずだ。