オンライン対戦ゲームのプレイヤーは、勝率やレーティングを気にするものである。
この数値の上下に快感を覚えそして怒りに奮え、自分は元よりチームメイトや敵プレイヤーを巻き込んで日々様々な激しい感情体験を味わっている。
ゲームがインターネットで繋がっていなかった牧歌的な時代、ゲームの上手さの比較対象は
周りの仲間だけであったし
全国大会も開かれるとしても年に数回程度で全プレイヤー間の自分の本当の実力を知ることはなかったのである。
その呑気さは、今で言うなら大会に一切参加せず野良で遊んでいるカードゲーマーみたいなものだろうか。
しかし現在の我々はスコアに縛られている。
勝ち負けは自己の曖昧な記憶に残るものではなく、半永久的に勝率という記録として残るようになってしまった。
順位も対戦毎に消えてなくなるものではなく、何度も繰り返す対戦の中で他プレイヤーとの比較で
レーティングとしてゲーム内での相対的な順位を決められてしまうようになった。
一ゲーム毎に気持ちを新たに臨もうとしても、プレイヤーは消せない歴史を背負って挑むのだ。
スコアを自らを映す鏡として肯定的に捉え更なるゲームプレイの向上を目指す者もいる一方、常に他者との比較でコンプレックスを刺激されることを嫌い
ゲームから遠ざかる者もいる。
数字がキッカケで奮起したり落胆するのはバカらしくも思えるが、オンライン人生に刻まれてしまったスコアの影響力は絶対的で逃れることは出来ない。
ゲームプレイの履歴が残り真の実力を測られそれが突き付けられることは、プレイヤーとしての去就を決めさせるほどに重たいことなのである。