筆者が戦争もののFPSゲームをやり始めて最初慣れなかったのがリスポーンのシステムである。
死んでもすぐに戦場に舞い戻る、そのリプレイとも違う違和感はすぐには受け入れられなかったのだ。
しかしそれは仕方がないのである。
いくら卓越したプレイヤーと言えど戦場において兵士は死にやすいからだ。
だからゲームオーバーを、兵士一人の死ではなく戦場の勝敗の決着に据えているのである。
極端にプレイ時間を短くさせないための便宜的な措置ではあるが、それは副産物を生み出している。
プレイヤーを一兵士を超えた戦場の判断をさせる存在に進化させているのである。
死んでなお個々の相手プレイヤーの力量を見極め、敵軍の配置を記憶し
戦場の動向をリアルタイムで把握していく。
死によって時間を中断されず記憶を受け継いでリスポーンしていく彼は、
一人ひとりの兵士の死に動じず次々と戦力を投入していく上官のようでもある。
兵士の命は軽い。
しかしその束になった軍隊は大きな戦果を獲得する。
それは人類が、その構成する個人が弱々しいながらも数を増やして
これまでの歴史で積み上げてきた巨大な営為を思わせるのである。