『かぐや様』エンディングの制作スタッフは褒められたい

TVアニメ『かぐや様は告らせたい~天才たちの恋愛頭脳戦~』第3話エンディング映像 ♪「チカっとチカ千花っ♡」
https://youtube.com/watch?v=Ywq4XR0G4Qk

 

アニメ『かぐや様は告らせたい』のEDで話題になっているのは専らこちらの方である。

 

しかし筆者としては、通常EDもそれと比べても甲乙付けがたい素晴らしい出来だと思っている。

 

EDの歌詞は、作品を深く理解した上で書かれつつも一見凡庸な映像へ導きかねない内容である。

しかしメロディーを聴いて制作スタッフはほくそ笑んだのかもしれない。

前半はシリアスな映像を載せても成立するものだ、と。

そこで本編のかぐやと白銀の関係性を、別離の二人の再会と逃避行のドラマに仕立てることを思い付いたのかもしれない。


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生徒会室で窓から差し込む陽射しにまどろむかぐや。

普段は互いに愛を告白させようと知略を巡らす関係だが

本心では白銀の自分への愛情を確信しているのである。

その信頼こそがこのドラマの基にある。


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本編の彼女の自縄自縛の精神的な檻は、EDでは家格と親の支配に置き換えられている。

昔の友人と想い人である白銀との絶縁を両親に迫られたらしい過去を伺わせる描写である。

 

ただいつまでもその状態に従いたくない彼女は、今夜飛行艇からの命懸けの脱出を決意する。


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早坂は侍女ではあるが、かぐやの精神的な支えとなっている母性的な存在である。

割と時間が長めのワンカットだが、それには理由がある。

早坂は手助けするだけで逃避行には加わらず、計画の成否に関わらず処刑される運命にある。

自らの非業の未来を予期しつつ、それでも主人であるかぐやが決意を固めるのを見守る思いやりを表現するのに必要な時間だからだ。


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窓から漏れる星と月明かりは、最愛の人がその下で待つ太陽の光と繋がっている希望の光である。

因みに、リボンで結ばれてない下ろしたままの髪と黒い衣装は彼女の子供としての隷属状態を意味しているのだろう。


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早坂の尽力もあり逃避行は為された。

天使は今はその羽を下降する為に使う、あの人に会うまでは。


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再会を果たした二人が成す飛行機の形は複葉機を模しており、人間と天使の協働という高貴なモチーフを織り交ぜながら

本編がこれから辿り着くであろうハッピーエンドを象徴しているのだ。


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夢から覚めて現実に戻っても彼との愛情は途切れていない、そのことを確信しているからこその安心の微笑みである。

 

制作スタッフの意気込みが伝わると同時に、イマジネーションと工夫に溢れた素晴らしいEDだと評価すべきだろう。

 

TVアニメ『かぐや様は告らせたい~天才たちの恋愛頭脳戦~』エンディング映像 ♪halca「センチメンタルクライシス」
https://youtube.com/watch?v=DScR3LonMFA