『リゼロ』レム人気の理由 報い合いの関係 2クール目

Re:ゼロから始める異世界生活の2クール目のレムは献身と犠牲の物語である。

 

王戦という諸侯同士の戦いの前哨戦に巻き込まれ、主人エミリアを王にすべく主人公スバルの前途多難な道のりが始まる。

地位を持たず諸侯と渡り合える程の頭脳と計略も持たない彼は、戦いの入口にも立たせて貰えず王戦が行われる都から敗走を余儀なくされる。

 

しかも真の敵は他にいて彼らはエミリアの命を狙っていた。エミリアの元に戻ろうとするスバルやレムも命を狙われ、

あまりに強大すぎる敵に二人は何度も殺されてしまう。

視聴者はスバルの為に犠牲になるレムのいくつもの壮絶な生き様を目にすることになる。

何度も繰り返す彼女の死を前にスバルは怒り憎んで、復讐を誓い、絶望し、自失してしまう。

 

これまでの彼の「死に戻り」の能力は世界を攻略する強みだったのだが、今では己に未熟さと無能を徹底的に叩き込むものとなってしまったのだ。

 

さしもの彼も全てを諦め、再び死に戻った世界の冒頭でレムに逃避行の提案と愛の告白をする。

18話の城址でのスバルとレムの会話シーン、アニメ史に残るほどの屈指の名場面だが

そこでレムの魅力が如何なく発揮され、多くのファンにとって彼女が一番のヒロインとなったのだ。

 

彼を愛しているレムはその告白を受け入れると思われていたが、拒絶をするのだ。

自分の許に留めて独占する恋人としての愛ではなく、未来を諦めないように旅立ちを促す母性の愛をもって対峙したのだ。

そこからの彼女のスバルを肯定し励ます言葉の数々は、単なる上辺だけの言葉だけではない。

言葉には行動が伴うべきとはよく言われるが、スバルには既に死に戻る前の世界で、彼女の死をもっての献身を何度も見ている。

言葉を裏付ける行動が先にあるのだ。

 

今に繋がっている時間と世界、そして彼女の存在こそが彼の今までの努力の軌跡だと言うことに気付かされ、立ち直る勇気を与えられるのだ。

 

ようやくスバルは世界の「攻略者」の立場を解放され、世界の繰り返しを前提としない他人と協力し共存する「住人」として生きることを決意する。

 

ゼロから始める異世界での「生活」、ようやく作品タイトルが回収されたわけだが

その重大なテーマで主人公に尽くすことで決定的な役割を果たしたレムに人気が出ない方がむしろおかしいだろう。