アニラジ存続の危機 楽園の行方

2018年冬期アニメは評判の良い作品が多く大変嬉しいことなのだが、そのほとんどに作品を宣伝するラジオが無いのである。

現在アニラジは、製作委員会によるリストラの対象になり減少している重大な局面にある。

毎週配信だったラジオが今は隔週のものの割合が増え、アニメの放送が終わってもかなりの期間続いていた昔と比べ

今はアニメの放送の終了に併せてラジオも終わるようになってきており、アニラジは確実に衰退の傾向を示しているのだ。

アニラジが制作側にとって存在感を失ってきた経緯と理由を見ていこう。

 

アニラジと言えばアニメの放送に先駆けて始まり、声優がアフレコ現場の雰囲気や作品の感想を語り、

作品に沿ったコーナーにリスナーがメールを送ったりなど、様々な企画によって声優とファンの一体感を高めるコンテンツなのである。

個人的にはこれで十分作品の宣伝の役割を果たしているように思うのだが、製作委員会の判断はどうも違っているようだ。

製作委員会としてはアニラジによってリスナーに具体的に購買行動を起こしてほしいと強く願っているのだろう。

確かにラジオが面白くてもそれだけで作品や関連商品が売れたり、新たなアニメ視聴者を呼び込むことは想像しにくい。

アニラジとは宣伝というより声優とファンの交流の場であり、あまり経済的な価値を生まないタダで楽しめてしまう閉じたコンテンツなのだ。

 

しかし果実を声優とファンだけが分け合っていた楽園は終焉を迎えようとしている。

 

ここで打開策を述べることはしないが、アニラジが無いとアニメや声優のファンとしてはこんなに楽しみが減ると言いたい。

 

アニラジが減った代わりに、一挙放送や円盤発売のタイミングで出演声優たちによる動画番組が多くなってきた。

そこで声優たちがアフレコ現場での思い出を語るわけだが、ほとんどのアニメオタクにとってはそれで満足だろう。

しかし昔のアニラジを知る者としてはその思い出をリアルタイムで双方向のやり取りで知りたかったと寂しい気持ちになるのだ。

本当は声優と共有できたはずのその動画番組までの期間が、ファンとしては失ったものに思えてくる。

 

昨年は種田理沙さんや細谷佳正さんが休業したが、ファンからのカムバックの声がなぜ大きかったのか?

ファンにとって彼らの名前を聞いて想像するのは声や演技だけではなく、人柄も思い浮かべることが出来るはずだ。

なぜなら彼らはアニメで声を当てるだけでなく、動画番組やラジオに積極的に出演してくれたからに他ならない。

アニラジが無くなると、声優が昔の裏方のような見えない存在になりかねないのだ。

 

アニラジは経済的な利益をもたらさないかもしれない。

しかしそれが無くなると失うものは必ずあるのだ。