アニメ作品の評価は円盤の売上で決定してしまうのが現状だ。
しかし周囲に惑わされず主体的に作品の価値を見極めたいとする者にとっては、円盤の売上など関心もなく、
それが面白さの指標に全くなっていないことにとっくに気付いている。
基本自分が楽しめればそれでいいのだが、より多くの客観的な評価の下、時代に残る名作を選出して後世に語り継ぐ必要はあるだろう。
しかし誰がその任を負うのかが問題である。
3ヶ月毎に40本以上の新作が供給される今、わざわざ過去の作品を再評価しようとするアニメオタクの存在が想像出来ないのである。
円盤の売上は作品の面白さを保証するものでは無いとは言え、作品の評価を固定するのに決定的な役割を果たしている。
それを覆して作品を見直すのは並大抵のことではないだろう。
加えてアニメオタクの嗜好も関係する。
視聴者としては昔の作品より今風の絵柄と現在活躍中の声優が出演する今のアニメの方が良いに決まっている。
あまり自慢出来ない評価基準ではあるが、「質より鮮度」なのだ。
円盤の売上を傘に着て中身を吟味することのない人気作品のファンや、マイナー作品の声だけ大きい少数の信者たち。
どちらも客観的な評価者とは程遠い存在だ。
よって本当にアニメを評価する人間は、毎クール熱心に追いかけているアニメオタクではないだろう。
過去のアニメ作品を発掘し評価することを専業にする評論家を除けば、それはアニメの世界に入ろうとしている新参者か引退者と予想する。
いずれも現在進行形の"ホット"なアニメから距離を取れる存在だ。
そして都合の良いことに過去作品のアーカイブである動画配信サイトが助けとなる。
作品の価値というものは、3ヶ月しか持続しなかったり、その短期間に定められてしまうものでは決してない。
真の価値とは長い時をかけて現れてくるものである。
長期的な評価が下されることが前提となれば、それはアニメ作品の制作に影響するに違いない。