漫画家は4コマ漫画を卒業すべき

読者として4コマ漫画に物足りなさを感じている原因は、4コマ漫画の漫画家の成長を阻害している要因と同一だと考えている。

 

4コマ漫画とは4コマ毎にオチを付けたものの連作である。

ギャグやコメディと相性が良い表現方式だ。

しかしそれは一昔前のことで、今では日常や萌えの表現にとって代わられている。

前者は起承転結がきちんとあり一つの4コマの独立性が高いが、後者は緩いオチしかなく全体の中の部分を構成している。

なのでアニメ化されて再構成された際はストーリー漫画のように通して楽しめるようになっている。

 

そこで問題なのだが、なぜ連なるものを4コマ毎に区切って漫画を描いてるのかと言うことだ。

4コマ目が終わり次の新たな1コマ目が始まれば、文法として読者は場面や視点の転換が行われたように分かるわけだが

それは4コマ漫画の形式の助けによるもので作者の意思とは関係ない。

そのような作品作りを続けることで、漫画家としてストーリーの創作能力が削がれるのではないかと危惧をするわけだ。

 

その他、4コマ漫画は制約が多いのだが、幾つか挙げてみよう。

 

まずはコマを変形させるわけにはいかないことだ。

コマの形や大きさを自由に変えられることは漫画の表現の強みだが、4コマ漫画家はその利益を享受できない。

 

次に、一つの4コマにたくさんのキャラのやり取りを描けないことだ。

4人以上登場させれば確実に破綻する。なので必然的に二人のやり取りが多く描写されるが、

それでは同時に多人数の思惑が絡んだ複雑なストーリーが描けない。

 

更に、背景を描く必要がないことだ。

ストーリー漫画家より画力のない比率が高そうな4コマ漫画家だが、それ以外に4コマ漫画に背景がないのには理由がある。

4コマ漫画において単独の背景は意味がないのだ。

たった4コマなので背景にコマを割くわけにはいかない。

ストーリー漫画における無言の背景のコマの重要性を、4コマ漫画家は知ることが出来ないのだ。

 

昔からの価格の優遇があり存続している4コマ漫画だが、これからも安泰とは限らない。

 

ここまで制約が多い4コマ漫画を永遠に描くことで漫画家人生を終えるのは間違っていないだろうか?