村は漫画の価値を証明した

最近、漫画を読みたい少年少女たちにとって希望の村がネットに現れたらしい。

その村では膨大な漫画が無料で読めるということだ。

しかし漫画は昔から無料や格安で楽しむことは可能だった。

古本屋やレンタル店や漫画喫茶の利用、そして立ち読みの経験がない日本人など存在しないだろう。

 

ここで対価を払わない消費への倫理や道徳を語るつもりはない。

ただ、漫画を安く楽しめるのはインターネットの登場前後で変わりはないことは言いたい。

 

漫画の単行本1冊あたりの価値で見ると、それは破格の安さだ。

ストーリーや絵もありキャラや世界も盛り込まれており、作者の創造性の結晶をわずか500円程度で楽しんでいることに申し訳なくなるくらいだ。

しかしそれはあくまで1冊当たりのことで、しかも読者の主観的な価値観での捉え方である。

 

巻数を重ねる作品の場合、話が違ってくる。

10巻続けば約5000円、20巻続けば約10000円と子供の娯楽の範疇を超え

大人の趣味としても経済的に重い負担になってくるのである。

 

現在インターネットでは配信業者による映画やドラマ、アニメ見放題などの月額定額サービスがある。

これらは小チームでの制作による漫画と違って製作費が桁違いに多い。

それらの娯楽と比較すると漫画が割高になるのである。

漫画に対する読者や漫画家の主観的価値を重視しすぎると、相対的な娯楽の地位の低下を認識出来なくなる。

 

村は新たな漫画の価値を提示したのではなく、我々が抱く潜在的な漫画の価値を後付けで証明したに過ぎないのだ。