心の中の子供部屋

今決してリアルでは口にしてはいけない一番の禁句が子供部屋である。

中年と言われる年になっても、実家の子供部屋にいつまでも住み続ける男性は、通称『子供部屋おじさん』と呼ばれている。

かつてのニートという言葉以上に、対象の人間とその精神性を嘲笑する意味合いがある。

 

しかし、彼らの年代に注目することで子供部屋をポジティブな価値に再転換することも可能だ。

40代前後だとすれば、彼らは国民的とも言える漫画やアニメを享受してきた世代だ。

それらはオタクと非オタクの垣根を超えて共有されるほどの抜群の知名度と人気なので、

同世代の親睦を深める共通の話題として持ってこいなのである。

前提を必要とせずただ同時代を生きていただけで生まれる繋がり、それを齎してくれるのが

あの時代を熱狂させていた漫画やアニメなのである。

 

繋がりは十分すぎるほどに既に用意されている。

ただ、他人とのコミュニケーションを望む意思の有無の問題がある。

当時の少年少女の思い出を心の中の子供部屋と例えられるならば、

そこを今から目を背けて引きこもるための場所とするのは勿体ないことだ。

実際に彼らの子供時代がそうであったように、人を招き或いは招かれるために

心の中の子供部屋のドアは開けておいた方がいい。

大人になっても広く世代で共有出来る子供時代の思い出は、かけがえのないものではないだろうか?