筆者としては創作者のネタ不足に駆り出されているように感じてしまいあまり肯定していないのだが、
オタクの間では擬人化がジャンルを確立するほどに持て囃されている。
古くは国から刀、そして最近では銃や細胞までも擬人化され人気を博している。
今回は擬人化がされる理由を探ることにする。
擬人化の対象と言えば、大抵は無生物である。
最初に、それらに名称や概念が与えられる人類の歴史があった。
次に、それらは形容詞のように使われるようになった。
つまり性格が与えられたのである。
そして現代、漫画やアニメの表現形式を手にした人類の中の創作者はその無生物を動かそうと命を与えた。
そのため鑑賞する者に馴染みやすく、創作のコマとして扱い易いものということで、人間の姿を与えたのだろう。
擬人化されたものは無生物時代の義務的な役割や設定を持っている。
人という自律的な存在となったことで、物語の上で働きかけることも干渉されることも可能になった。
単純に固定化された人格として動くことが、そしてその人格を分裂や破綻に導くような展開での彼の内面の相剋が楽しまれているようである。
これまで人間が能動的に働きかけないと存在を意識できなかった対象が、擬人化を施すことで独立して物語を紡ぐのである。
創作と鑑賞に貪欲な人間が、無生物を贅沢な存在へと高みに上げたのだ。