アニメの主人公とその仲間は年代的に中高生の割合が高い。
彼らは敵や現実と戦っている。
対して、アニメを視聴している大人にとって現実とは妥協しながら従わざるを得ないものであり、
敵とは向き合わずにやり過ごすものである。
アニメの主人公たちは、大人から見れば未熟で無思慮で無知な存在だ。
物語が進むにつれて、そんな精神力だけが推進力だと思われた彼らが努力と仲間の助けによって
困難を乗り越え、強大な敵を打ち破り現実を変えてしまう。
仲間や恋人に恵まれ成長することが約束されている彼ら自身が噓であり、
物語の設定や世界観が彼らを勝利に導くように阿っていることも噓と言える。
フィクションとは噓で塗れた物語だ。
しかし心は現実と虚構を超えて不変である。
彼らの心に灯る夢と希望の火は、アニメを視聴している我々に移植され現実に立ち向かう糧となる。
現実の時間の歩みは遅く、世界は広く、他者は手強い。
結果を急いで求めることをしなければ、受け取ったものはゆっくりと役に立ってくれるはずだ。
鑑賞して楽しめるだけでなく生きる力を与えてくれるアニメはやはり素晴らしい。