『WORLD'S END』 が仲立つもの

セブンスシスターズ WORLD'S END
https://youtube.com/watch?v=J6gRF7WLlA8

 

セブンスシスターズの『WORLD'S END』は、彼女たちの絶望の未来を予期した曲である。

彼女たちの曲には新旧アイドル論ともいうべき哲学があり、その文脈で解釈することが可能なのである。

 

イントロは、ただ広がるだけの空をイメージしている。

そこで何かを得られる希望は無く、願いや想いを霧消させるような虚しい空だ。

彼女たちが進んでも、尚変わらず変えられなかった景色である。

 

 

見果てぬ明日を信じてないのは
凍えた昨日が足を掴むから
かさねた指先 小さな祈りが
少しずつ遠くなっても

過去の束縛が未来を望むことを阻んでいるのである。

おそらく彼女たちは従来のアイドルとファンの関係性を脱却できないままカリスマを確立してしまったのだ。

両者の交わりの過去と記憶はやがて消え失せるという予感が歌われている。

 

たとえば刻むほどに
消えてく想いなら
確かなものだろう

彼女たちが理想的なファンとの関係を願った想いは本物で、例え消えてしまっても後悔だけはしない誇りがある。

 

I will never lovin' you
なにを失っても
I want この声が誰に届かなくても
l just want to scream at you
すべてじゃなくていい
I want 向かうべき場所なんてないとしても
Now hands up & carry on
Shout louder
All I want is break it for you again

客体への語りかけである。

距離を感じているからこそ、その働きかけが熱くならざるを得ないのだ。

言葉にしていることと心情の乖離が並行して表現されている歌詞である。

 

わずかに残った微かな願いは
雪空に舞って散り散りに消えた
誰にも見えないもの探したのは
誰も信じてないから

彼女たちとそれを支えるファンの関係は断絶されており、最後は自分たちで新しい音楽を探すことになったと吐露しているのである。

どうしてもファンと一体になって新しい音楽を求めることが出来ないという悲痛な想いがある。

 

ただひとつ違ったのは
失くした想いだけ

純白を捨てて

足掻いた故に汚れてしまった想い、その想いだけがある。

 

I will never lovin' you
誰が嘲笑っても
I want この空がこの手で掴めなくても
I will never trust in you
僕は信じたい
I Want 掲げた手触れた先だけを見て
Now hands up & carry on
Shout louder
All I want is break it for myself

先と同様に歌詞とそれに反する心情が並んでいるのだが、今度はもう自分たちだけのために

今の音楽を壊そうと言うのである。

絶望は極まってしまったのだ。

 

Hold on
望んだ未来は今どこにある?
I'll never let you go again
| know
向かい風が導いてくれた
I'll never let you go again
知らなかった僕の声を
見つけられる
君がそこにいるなら

もう自分たちでは新しい音楽に辿り着けないとの覚悟があり、幻想に消えてしまった願いと希望が綴られている。

 

10,9,8,7,6,5,4,3,2,1
World's end

『SEVENTH HAVEN』のカウントアップの歌詞と対になっているのは言うまでもなく、

ファンとの関係が絶たれメンバーの絆も崩壊していく未来へのカウントダウンである。

 

I will never lovin' you

なにを失っても

I want この声が誰に届かなくても
l just want to scream at you
君に届けばいい
I want 胸に誇り掲げて進むべきだろう
Now hands up & carry on
Shout louder
All I want is break it for you again

願いを叶えるのは自分たちではない自覚に至った歌詞である。

だからといって悲嘆しているわけではない。

彼女たちは自分たちの願いが、ファンと彼らと新たに歩むであろうアイドルに託されることを信じており

私たちに続く、でも自分たちと違う者たちが成功するのはファン次第であり、だからこそあなたのために壊したいという歌詞で締めくくられているのだ。