異性の声優に対して熱狂的になる、それは声優に興味を持ち始めた誰もが通る通過儀礼である。
そしてファンであった声優の結婚や交際が発覚する度に、我々声優オタクの心は破壊されてきたのである。
しかし、その心臓は修復され強化されてきた。
異性の声優に対峙するは、築き上げられた鉄壁のポートフォリオを以てである。
ここではポートフォリオを内訳や構成という意味で用いていく。
まずは推しの声優を一人に絞らないことである。
ポートフォリオを一人の声優で占めてしまうと、万が一の際のダメージが大きすぎるからである。
だから出演作品やグループなどの箱推し、もしくは声優全体を応援する対象に変えて行くことである。
年代別に推しの声優を複数持つことも重要である。
これで、もし推しの声優を諦めることになっても隣接する声優に乗り換えることで被害を抑えられる。
次に、自己の中の現実と虚構の比率を前者強めにすることである。
声優は現実の存在だがアニメのキャラクターを纏うことで、その存在は虚構の性質を帯びていく。
それに呼応するように声優オタクも虚構の存在となる。
虚構の殻を破って現実を見据えると分かることがある。
それは、声優とオタクは一対一の関係ではないことである。
声優は現実世界での人の付き合いがある。
そのことに心揺さぶられてしまうのならば、声優オタクも現実で異性のパートナーを得ることが解となる。
その実行が難しければ、せめて自分が現実で異性のパートナーを持てる可能性がある存在だと認識することである。
その認識は声優への寛大さに繋がるだろう。
自分に許されるならば相手の声優も許されていい、と。
オタクを取り込もうとする虚構に、心のポートフォリオが占められはいけないのである。
以上のことを心得て鉄壁のポートフォリオを練り上げたとしても、
異性の声優への応援にはどうしても下心が入り込むものである。
そこを売りにしてこれからも新しくアイドル声優は生まれていくだろう。
しかし迎える我々声優オタクは、声優を現実の存在として再認識することで
彼らとの適度な付き合いを模索していけるはずだ。