第2期『ラブライブ!虹ヶ咲学園スクールアイドル同好会』9話感想

なぜか2期は個人回が満足のいく出来である。

今回は「手を伸ばす」描写が多かったが、それが話を読み解く鍵となる。


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帰国を決意したランジュは届かない空に向かって手を伸ばした。

仲間と一緒にスクールアイドルをしたい思いは、この時の彼女にとっては遥かな望みだった。

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ミアのことを、その価値ではなく存在として認めて温かく迎え入れようとした璃奈が手を差し出す。

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それを掴んだミアが、ランジュと同じように空に手を伸ばした時に気付く。

遠くにある理想は実は身近にあったのだ。

手の届く近い場所に、掴むことが出来て掴んでくれる仲間の手があったことに。

 

他人への依存を脱却したミアが曲を自分のために作るのは必然の流れで、

侑が自分を表現する曲を作っているのを側で見ていた経験もそれを後押ししたはずだ。


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近くで掴んだ仲間の絆が、遠い夢だったミアの歌姫としての復活でさえ遂げさせた。

これはメンバーがソロとして自立していながら互いに協力して夢を叶える同好会の本質に繋がっていて、完璧すぎる構成だ。


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自分のための歌を歌いきったミアもランジュに手を伸ばす。

一旦スクールアイドルであることを置いて「仲間」として差し出した手が、

ソロアイドルでしかやっていけないと思い込んでいたランジュの強がりを溶かした。

まさか今回ランジュまで同好会に入るとは思っていなかったが、正にこのタイミングでしか彼女の加入の可能性はあり得ない。

 

ただ筆者も無条件で絶賛するわけではない。

単話で見ると批判の隙もないが、ランジュがオーラを放っていた1話とそのMVを観た後だと今回の彼女の陥落が釣り合わない。

これまでの積み重ね、特にランジュのスクールアイドルフェスティバルでの敗北に

説得力を持たせられなかったのが原因で、それは非常に勿体ないことである。