内と外の未開 アニメ『転生したらスライムだった件』プロローグ感想

TVアニメ『転生したらスライムだった件』 オープニング映像
https://youtube.com/watch?v=yQjsdbbJcuk

 

寺島拓篤インタビュー|『転スラ』OP曲「Nameless Story」への想いとは?
https://www.animatetimes.com/news/details.php?id=1538034028

 

寺島拓篤さん作詞の『転スラ』OPの歌詞は、プロローグと作品全体の中核とも言える内容だ。

名も無い自分が転生した世界で出会ったものに名付けをしていく、

やがてそれが自分が生きた証となり本当の人生になるだろう、という内容である。

 

筆者が視聴していてこれまでの異世界もののアニメと違うと思ったところは、この作品は出会いの喜びを強く描いていることだ。

従来の作品では、異世界とは主人公が無双し住人から尊敬を勝ち取る場所であるが、

この作品においては未知の種族との遭遇の驚きと快感を与えてくれる場なのである。

彼らは従順さと呑気とも言える明るさを持っている。

その性質はともすれば低い知能や奴隷根性と揶揄されかねないが、素朴な精神は尊いものである。

 

両者の縁の始まりにおいて主人公は彼らを名付けすることで進化をさせ、彼らの方は一生懸命主人公の為に尽くしてくれるのである。

作中の出会いは必ず報われているのだ。

その交流は見ていて気持ちが良く、未知の世界に臨むことに我々を前向きにさせてくれる。

主人公のスライムであるリムルが相手を呑み込むことに象徴されるように、対象を取り込んで材料とし築かれる精神の開拓地が存在するのである。

 

繋がりと希望を生み、まだ見ぬ新しい人生の旅路を歩ませてくれる出会い。

 

この長い物語が終わって振り返ることで、その一つ一つの出会いが転生した地での生涯に持つ意味を知ることになるのだろう。