オタクの筆者にとって神がいるとしたら、それは漫画家の鬼頭莫宏である。
『なるたる』を読んで漫画が持つ奥行きと構成に魅せられて、現在まで続く何かについて「語る」という筆者のオタク活動が始まった。
残念ながら『ぼくらの』以降、同じ傾向の世界観の長編が連載されなくなり、
神と崇めるほど心酔していた作者からは遠ざかってしまった。
時は経ち、何かのきっかけで作者がSNSをしていることを知り驚いた。
https://twitter.com/mohiro_kitoh
なるたる連載当時の作者のネットの発信媒体はブログだった。
ほとんど自転車の記事ばかりで、たまに社会への諫言めいた記事もあったが
面倒を恐れてか割とすぐに削除されていた。
ファンとの交流を感じさせるものは極僅かだった。
ネット上の私的な作者は程遠い存在であったが、神の存在なので筆者は寧ろそうあるべきと肯定していた。
そんな往時を振り返りつつSNSを辿って行くと、同業者や編集者との活発な交流はもちろん、
ファンとは時間差はあれど積極的に期待に応える発信をしている。
隔世の感とは正にこの事だ。
過去作品の資料を公開したり秘話なども披露している。
ファンとしてはどれも垂涎ものの情報ばかりでファンに寄ってくる姿勢に感謝しか無いのだが、だからこそ筆者は気を引き締めようとの思いを強くした。
昔の神は今では現人神になった。
今の発達した親近感を持たせるようなSNSに惑わされたりせず、ファンとしては距離感を保ちつつ崇め続けようと思ったからである。